夏帆さんが主演、そして不倫の相手役に妻夫木聡さんが出演している映画「RED」。
先日、それを観に行ってきた。
映画の「RED」は不倫をきれいに描いているような印象だった。
まあ、夏帆さんが主演だから、そこまでどぎつくならないのは想定済み。
そして、相手役が妻夫木さんだったらなおさらだ。ドロドロ劇よりスマートな感じになるのはなんとなくわかる。正直、映画はまあまあ楽しめた感じかな。
映画を鑑賞後、原作は小説だということを知った。また、結末が映画と小説とではちがうということもさまざまなレビューから知った。
なによりも原作はもっと官能的な作品らしい。
そこで、小説はどんなものかと読んでみることにしたわけだが・・・。
今日は、その小説「RED」の感想を書いてみようと思う。
作品情報
著者は島本理生さんで、私にとっては初見の作家さん。2020年現在で36歳の女流作家。
2018年に「ファーストラヴ」で直木賞を受賞している。
他に代表作として「ナラタージュ」があり、こちらは松本潤さんと有村架純さん主演で映画化された。
本作品の内容はざっとこんな感じ
夫の両親と同居する塔子は、可愛い娘がいて姑とも仲がよく、恵まれた環境にいるはずだった。だが、かつての恋人との偶然の再会が塔子を目覚めさせる。胸を突くような彼の問いに、仕舞い込んでいた不満や疑問がひとつ、またひとつと姿を現し、快楽の世界へも引き寄せられていく。上手くいかないのは、セックスだけだったのに――。
アマゾンの「内容紹介」より引用
まとめると
主婦である塔子が、かつての恋人であった鞍田と再会し、また不倫の関係になってしまう
というストーリー。
感想
はっきり言って、映画より小説のほうが好みだ。性描写がなまなましいところがリアルな感じだった。
島本理生さんの初の官能小説ということで、どれだけ性的描写がなされているのか気になった。
と言っても、実は私自身が官能小説をほぼ読んだことがなくて、実際どんなものを官能小説というのかわかっていない。
比べるものさしがないまま読み進めていった。
で、たしかに細かい性描写がたくさんあるものの、汚らしい印象はなく、描写がうまいなぁと感じた。
読んでいて、いやらしさを感じるということはなかったし、興奮もしなかった。ただ、「そこを描写するのか」というところがあり、読んでいて恥ずかしくなるようなところがいくつかあった。
いずれにしても、ベッドでの様子が目に浮かぶようなしっかりと描写だったことはまちがいない。
それがこの作品のいいところだったといえる。
「不倫はだめだ」、頭ではわかっている。しかし体が拒めない。肉体と心がどうしても相手を求めてしまう、それが塔子と鞍田の関係だった。それがなまなましく描写されているところがよかったのだ。
そういうのを本来は純愛とは呼ばないのだろうが、私はこれぞ純愛だと言いたい。
もちろん不倫ではあるのだが、「本当に愛する人がいるのなら不倫もありなんじゃないの」と思ってしまうほどだった。
特に、塔子の旦那さんのダメぶりが際立っていたからなおさらだ。
旦那は、マジメで塔子のことをとても好きなふつうの男だ。両親と同居していて、どことなく親離れしてない感があったりする。
マジメでちょっと男女関係には不器用そうで、実際つき合ってみたらあんまりおもしろくはなさそうな男なのだ。
それでもある程度収入があってやさしいので、結婚するにはぴったりの男だったのかもしれない。
でも、男としての魅力はなかったのだろう。
「RED」に描かれている塔子の旦那さんは、実際、どこの家庭にもいそうな旦那の縮図(ちょっと変な日本語だが)といってもいいかも知れない。
結局、ガマンできる女はガマンしちゃうのかもしれないが、そんな夫婦関係うまくいくわけがない。
塔子はそれで不倫せざるを得なくなってしまった。
でも、実際、不倫が「悪いこと」ではなかったら、いまの日本ではたくさんの不倫がなされるんだろうなぁと想像する。
この物語の塔子みたいに、ちょっとタガが外れてしまったらなかなか後戻りはできない女性が多くなると思う。
もちろん、タガを外す男性はいまでもたくさんいるんだけどね。
ということで、この作品を読んでみて、もし私が結婚したら、いろんな意味で女性を満足させてあげたいと思った。やさしく接するのはもちろんのことだが、女性の体を宝物のように大切に取り扱いたい。
不倫は許されることではないのかもしれない。しかし、この作品のようにお互いがどうしようもなく好きであればありなんじゃないか、そう思わされた小説だった。
最後に一言つけ加えると、不倫の関係は子どもが鍵になるなぁと思う。
まとめ
島本理生さんの「RED」。官能小説ではあったが、恋愛小説で読み応えがあった。
【今回の満足度】
☆☆☆(☆3つ)