ミュージカルでおなじみの「レ・ミゼラブル」と同名のこの作品。
舞台も同じパリ郊外のモンフェルメイユ。
レビューを読むと、観た人の評価はかなりよい。とても気になる作品だと思って、私も観に行くことにした。
今回はフランス映画「レ・ミゼラブル」の感想を書いてみようと思う。
作品情報
レ・ミゼラブル(2019)
監督:ラジ・リ
脚本:ラジ・リ、ジョルダーノ・ジェデルリーニ、アレクシス・マネンティ
キャスト:ダミアン・ボナール、アレクシス・マネンティ、ジェブリル・ゾンガ他
【公式Twitter】
本作は、ラジ・リ監督にとっての初の長編映画。舞台となったヴィクトル・ユゴーの「レ・ミゼラブル」で知られるモンフェルメイユで生まれ育ち、現在も生活しているとのこと。
現在、ここはパリ郊外の犯罪多発地区の一部だそうだ。そこで育った監督に体験をもとに現代社会の問題を描いている。
作品は、2019年にフランスで公開され、初日動員数は7万人を超えたそうだ。
個人的なオススメ度
☆☆☆☆☆(☆5つ)
ぜひとも観てほしい作品だ。フランスの社会問題など日本では遠い国のことのようだが、あちらの国では、移民問題や貧困層の問題など、さまざま問題を抱えていることがわかる。それらのところを我々も知っておくべきだと思う。
あらすじ
パリ郊外に位置するモンフェルメイユ。ヴィクトル・ユゴーの小説「レ・ミゼラブル」の舞台でもあるこの街は、いまや移民や低所得者が多く住む危険な犯罪地域と化していた。犯罪防止班に新しく加わることになった警官のステファンは、仲間と共にパトロールをするうちに、複数のグループ同士が緊張関係にあることを察知する。そんなある日、イッサという名の少年が引き起こした些細な出来事が大きな騒動へと発展。事件解決へと奮闘するステファンたちだが、事態は取り返しのつかない方向へと進み始めることに……。
映画「レ・ミゼラブル」公式サイト より引用
簡単にいうと、
今や犯罪地域と化したモンフェルメイユをパトロールする傍若無人なクリスに怒った少年たちが大きな騒動を起こす
という話。
その騒動はとてもすさまじく必見だ。
感想
圧倒的に心に突き刺さる作品。社会格差や人種問題が緊迫感を持って描かれていた。
舞台は犯罪多発地区。
主人公の警察官ステファンは犯罪防止班に配属され、気性の荒いクリスのチームに加わることになる。
そのクリスは貧困層の地域で幅をきかせ権力をつかって人々を抑えつける。また子どもに対しても容赦なく傍若無人な態度だ。
このクリスって警察官がマジでクソなやつだ。
ある時、イッサという少年が問題を起こし、クリスの相棒であるグワダが信じられないことをしてしまった。それは警察として許されないことだ。
しかし、もっとひどいのは、そのことをクリスが隠蔽しようとしたのだ。
それがきっかけで大騒動が起きてしまう。
この映画の山場はこの騒動だ。本当にすごかった。
まず、警察官のクリスは本当にクソで、こいつが日本の警察官じゃなくてよかったと思う。
クリスの傍若無人さにはヘドが出そうだった。
というのも、こいつは弱者に対しての扱いがひどいのだ。貧困層の人々が住んでいる家には令状なしで当然のように入っていこうとする。
未成年に対しても高圧的で、その様子をスマホで撮影しようものならスマホは破壊される。
権力の乱用を絵に描いたような存在だ。
問題を起こしたイッサはこのクリスからひどい扱いを受けるのだが、その後起こった暴動がすごかった。
怒りが大きな波のように押し寄せてきて、とてもじゃないけど太刀打ちできなくなる。
途中で、ムスリムのボス的存在の人が「怒りは避けられない」と言っていた。
権力に抑圧された怒りというのは、いくら抑えつけても屈することはないのだ。
それが暴動となるのだ。
世の中には、権力者とそれに従う者、金持ちたちと貧困層、白人と黒人、大人と子ども、そんなふうに強者と弱者が存在する。
強者が我が物顔で世間を歩くと、表面上はみんな従うだろう。あるいはちょっと反抗してもすぐに屈服させられてしまうだろう。
でも、人々の怒りは消えることがない。
怒りで燃えた一人の心は、大勢の人の心に引火し、激しく燃えるのだ。
私の心も熱く燃えていた。
まとめ
はじめから終わりまで、気を抜けない作品だった。
アクション映画、SF映画などを見慣れている私にとって、こんな作品もたまには観てよかったと思う。
本当に胸に突き刺さるような作品だったなぁ。