推理小説あるいはミステリーを猛烈に読みたくなり、しかし、最近の流行りのミステリーがよくわかっていなくて・・・。
とりあえず、「このミステリーがすごい!」とか「日本推理作家協会賞」とか、いろいろネットで調べてみた。
そうしたら、こいつにたどりついた。タイトルは「凍てつく太陽」。2019年の日本推理作家協会賞・長編および連作短編集部門を受賞した作品だ。
この由緒ある賞を受賞した「凍てつく太陽」。
もちろん、おもしろいかどうかなんて、読まなきゃわからない。
しかし、読んでみたら大正解!!!
めっちゃよかったよぉーーー!
ということで、今回は「凍てつく太陽」の感想を書いていく!
作品情報
著者
葉真中顕(はまなかあき)
1976年、東京都生まれ
2013年、「ロスト・ケア」で第16回日本ミステリー文学大賞新人賞を受賞
同作は「ミステリが読みたい!」で第5位、「このミステリーがすごい!」で第10位、「週刊文春ミステリーベスト10」で第14位となる。
2019年、「凍てつく太陽」で第21回大藪春彦賞受賞、第72回日本推理作家協会賞を受賞。
内容紹介
昭和二十年、終戦間際の北海道を監視する特高警察、通称「北の特高」――。 彼らの前に現れた連続毒殺犯「スルク」とは何者か。陸軍がひた隠しにする「軍事機密」とは。 そして、真の「国賊」は誰なのか? かつてない「特高」警察小説! 逼迫した戦況を一変させるという陸軍の軍事機密「カンナカムイ」をめぐり、 軍需工場の関係者が次々と毒殺される。アイヌ出身の特高刑事・日崎八尋は捜査に加わるが、「拷問王」の異名を持つ先輩刑事の三影に濡れ衣を着せられ、網走刑務所に投獄されてしまう。八尋は特高刑事としての「己の使命」を全うするために、脱獄を決意するのだが――。
舞台は昭和二十年、終戦間際の北海道。
主人公は日崎八尋。かれは特高刑事だった。
ある日、軍需工場の関係者が次々と毒殺された。
アイヌ出身の刑事だった日崎八尋は濡れ衣を着せられて、網走刑務所に投獄されてしまうのだった。
さて、日崎は脱獄して真犯人を探しにいくわけだが・・・、
という感じのストーリー。
「凍てつく太陽」の感想
とても重厚で骨太なストーリー。戦時中の北海道の歴史を背景とし、さまざまな要素を絡ませた本格的ミステリーだった!!!
時代背景がすごい!
この作品の舞台は戦時中の北海道。
ちょうど第二次世界大戦が終わりかけているときだ。
そこに登場するのが特高警察。
現代に生きる我々には全然なじみのない警察だが、どうやら秘密警察らしい。日本の治安をよくしたり、反社会勢力を取り締まったりして国家を維持していく。
日本にもそんな時代があったんだねぇ・・
さらに、韓国併合によって日本にやってきた朝鮮人がどういう扱いを受けていたかとか、当時のアイヌの人の考えなども垣間見えたりする。
そんな、ちょっと複雑な社会の中で事件が起きたわけだが、とにかく時代が時代なだけにその社会が重厚な感じで描かれているのだ。
だから読み応えは十分にある!
内容がもりだくさん
差別あり、潜入捜査あり、濡れ衣あり、とにかく盛りだくさんの内容。
主人公がハメられてしまったという場面もある。
ちなみに熊と格闘するシーンもある。
またプリズンブレイクなみの脱獄などもあったりして、ハラハラドキドキな感じだ。
しかも、戦時中という背景を利用した壮大な計画が隠されていたりもした。
その中で、連続殺人が起きるのである。
ネタバレしないで話すのが本当に難しいので踏み込んだことが書けないわけだが、作品を読めばいいたいことがわかるだろう。
そして、この作品は本格的なミステリーだ
戦時中の話とか、アイヌ民族のこととか、また陸軍のこととかいろいろ書かれているわけだが、この話の根幹は連続殺人事件である。
いったい犯人は誰で、どんな目的があるのか、そこが一番の醍醐味である。
さらに、謎の暗号文みたいなものまで登場する。
犯人だって、結局、私が予想したのとはちがっていた。
やっぱりミステリーはおもしろいなぁと思わされる。
内容がこんなに濃くて、もりだくさんだというのに、作者の筆力のせいかページをめくる手がどんどん早くなってしまったということも報告しておきたい。
まとめ
買ってみて正解だった。何度も書いたが、内容が濃くてもりだくさん。とても重厚で骨太な作品だった。
ミステリーっておもしろいなぁとあらためて思わされた作品である。みんなにもおすすめしたい!