Twitterに「#名刺代わりの小説10選」というタグがある。これは好きな小説10選を各自ツイートしたものだ。
ちなみにこれのことね!
#名刺代わりの小説10選
— みっちー (@michi_blog05) 2020年11月9日
かがみの孤城/辻村深月
十角館の殺人/綾辻行人
蜜蜂と遠雷/恩田陸
みかづき/森絵都
舟を編む/三浦しをん
手紙/東野圭吾
とんび/重松清
永遠の0/百田尚樹
死神の精度/伊坂幸太郎
火車/宮部みゆき
「十角館の殺人」を10選にいれました!
ちょうどミステリー小説を読み終えたところで、次に何を読もうかなぁと考えていた。
そこでこのタグを見ていたわけだ。
みんなの小説10選を見てみると、多くの人が綾辻行人さんの「十角館の殺人」を入れていた。そんなにみんなが評価しているのかと思うと否が応でも興味が出てくる。
「十角館の殺人」、名前だけは知っている。しかし、そんな読書家でもない私は未読だった。
そこで満を持して(?)、わたしも読んでみることにした。
読後思ったのは、この小説マジですごいということ。
タイトル読めばわかるようにとあるところで殺人事件が起きる系の話。でも、こんなのいままで読んだことない。ミステリーの傑作中の傑作といっていいだろう。
そこで、今回は、「十角館の殺人」の感想を書いてみることにした。よろしくお願いします。
「十角館の殺人」:作品情報
著者
1960年生まれ
日本の小説家、推理作家
1987年「十角館の殺人」でデビュー。
1992年「時計館の殺人」で第45回日本推理作家協会賞受賞。
2018年 第22回日本ミステリー文学大賞受賞
あらすじ
十角形の奇妙な館が建つ孤島・角島を大学ミステリ研の7人が訪れた。館を建てた建築家・中村青司は、半年前に炎上した青屋敷で焼死したという。やがて学生たちを襲う連続殺人。ミステリ史上最大級の、驚愕の結末が読者を待ち受ける!
十角館の殺人 <新装改訂版> Amazonより引用
無人島に十角形の奇妙な館があった。そこにミステリ研の学生7人が訪れる。
7人はそこで一週間暮らすことになったのだ。
ところが、そこで次々に学生が殺されていく。
いったい犯人は誰なのか?
そしていったい動機は何なのか?
衝撃的な結末が読者を襲う!!!
…という感じのあらすじ。
「十角館の殺人」の感想
この作品はミステリーの中でも傑作の中の傑作といってよい。読まないと人生を損するレベルだ。
「十角館の殺人」は本格的ミステリー小説
ネットでオススメの推理小説を検索するとだいたい登場するのがこの「十角館の殺人」。
この作品は、トリックあり、謎解きあり、どんでん返しありの本格的推理小説だ。
まず、舞台となる十角館からして、とてもあやしい。建物が十角形という、いかにも何かありそうな建物なのだ。
そして人が一人ずつ死んでいくという設定もいかにもミステリー。もちろんこれはアガサ・クリスティの「そして誰もいなくなった」のオマージュだ。
とにかく人が死んで、誰がやったのか想像もつかない。どんどん人が死んで、「誰が犯人なの?」と思いながら終盤まで来てしまう。
犯人が誰だかわかったときの「え????」感も強かったし、真相を知った時の見事さも半端ない。
とにかく、最初から最後まで、本当にすばらしかったとしかいいようがない作品だ。
「え?この人が犯人?どうして?」感が強かった
読み進めていき、犯人は誰なんだろうとマジで考えた。
ミステリ研の7人のうちの誰かが犯人なのか、それとも外部の者の犯行なのか、もしかして死んだはずのあの人が実は生きているのか・・・
そんなふうにさまざまな可能性を模索した。
「初期に殺された学生が実は生きていて、それが偽装だった」という案まで思い浮かんだ。
そして、物語が9割ぐらい進んだところで、突然「え?なに?どういうこと?」となり、「この人が犯人?」となるのである。
その唐突さにも震えた。犯人を示唆する1行があるのだが、そこを読んだとき、本当に意味が不明だった。それくらの衝撃を受けてしまったのだ。
謎解きも秀逸
後半は、推理小説によくある謎解きの部分だ。
犯人のトリックと動機があきらかになっていく。
その伏線回収の仕方が半端なかった。あれがこうつながっていて、これがああつながっていたのか・・・と見事だった。
犯人がわかる前までの叙述もすごくて、ページをめくる手が止まらないくらいだった。が、犯人がわかってからの謎解きは、さらに加速して一気に読んでしまった。
読み終わったとき呆然とした。
マジか?とうなってしまった。
この小説はマジですごい、そう思えた推理小説だった。
最後に
今年は数冊ミステリーを読んで、そのどれもが傑作だと思えた。
たとえば先日読んだ「カササギ殺人事件」、これも傑作だった。
参考記事:「カササギ殺人事件」のあらすじと感想:構想から執筆まで15年という緻密なストーリー
また、どんでん返しといえば「medium 霊媒探偵城塚翡翠」で、これも途中から怒涛の展開だった。
参考記事:「medium 霊媒探偵城塚翡翠」(相沢沙呼)の感想:3冠は伊達じゃなかった!
しかし、それでもこの作品にはかなわないかなぁという印象だ。
この作品が出版されたのが1987年で、今から30年以上前なわけだが、いまだに色褪せない作品である。
この作品を読まずにミステリーは語れない、そう言える作品であることはまちがいない。