「生物はなぜ死ぬのか」(小林武彦)の感想:

年齢的に人生の折り返し地点を過ぎた頃、私は死を強烈に意識するようになってきた。あとどれくらい生きていられるかはっきりとはわからないが、死は確実にやってくる。

それまで私はどのように生きていけばいいのだろうか、何をすればよいのだろうか、そんなことを何回も考えるようになった。

そんなことを考えているうちに、そもそも生物はなぜ死ぬのだろうかと疑問に思うようになった。生物の目的が種の存続や繁栄だとしたら死ぬ必要がない。死んだら種にとってマイナスになるからだ。

生まれたならば、そのまま生き続けていけばその種はどんどん増えていき将来は安泰だ。それなのに生物は死ぬ。それはなぜか、そんなふうに思うようになってきた。

そんなときこの本に出会った。

感想を書く前に、正直なことを言っておくと、この本は私には難しかった。書いてあることの半分も理解できなかったかもしれない。

それでも、勉強してまたこの本を読みたい気持ちが湧いてきた。

とりあえず、拙い感想を書いていこうと思う。

 

 

「生物はなぜ死ぬのか」の情報

 筆者

小林武彦

1963年生まれ。神奈川県出身。

九州大学大学院終了(理学博士)。

基礎生物学研究所、米国ロシュ分子生物学研究所、米国国立衛生研究所国立遺伝学研究所を経て、東京大学定量生命科学研究所教授。

 

主な著書

寿命はなぜ決まっているのか岩波書店

DNAの98%は謎講談社ブルーバックス

 

出版情報

出版社:講談社講談社現代新書

発売日:2021年4月14日

 

「生物はなぜ死ぬのか」の感想

もう少し生物の勉強しておいたほうがよかった

全体的に説明が噛み砕かれていて、わかりやすく書かれていた印象だ。それにも関わらず、理解できなかったことが多かった。

それは筆者のせいではなく、ただ私の勉強不足なだけである。

というのは、この本の内容は哲学的な死ではなく、生物学的な死について専門的な考えを踏まえて書かれているからだ。

生物の始まりに触れるまえに地球の始まりに触れ、そのときどのような化学反応が起こったのかとか、DNAはどのようにしてできたのかなど、しっかり生物の勉強をしてきたものでなければ理解できない内容が多い。

遺伝や細胞についても書かれていたし、進化についても書かれていた。高校の理科で習う内容が盛りだくさんだった。

基本的な知識があったほうが、理解が深まることはまちがいない。もう少し生物のことについて勉強してから読めばよかったというのが率直な感想だ。

 

勉強不足ではあったが内容を楽しめた

理系の知識が全然ない私であったが著者の筆力のせいであろうか、またはとてもわかりやすい解説のせいであろうか、結論部分はとてもわかりやすく書かれていた。

「生物はなぜ誕生したのか」から始まり、「生物はなぜ絶滅するのか」「生物はどのように死ぬのか」「ヒトはどのように死ぬのか」とだんだん核心に近づいていき、最後の章で「生物はなぜ死ぬのか」の筆者の結論が述べられている。とても理路整然としていたと思う。

しかも、「生物がなぜ死ぬのか」という学問的な話だけではなく、絶対に死から逃げることのできない人間という生物はこれからどう生きていくのがよいかというヒントまで書かれている。

この本が、ただ知的好奇心を満たすためだけに書かれていないのがよくわかった。これから人間はどのように生きていけばよいのか、来るべき未来を予測しながら書かれていたところがとても勉強になった。

そういう意味で、この本はとても自分のためになった本だと言える。

 

最後に

この本はバリバリ文系の私にとってはとてもむずかしい内容だった。

だからと言って、読む必要がなかったかというとそれもちがう。まちがいなくこの本を読むことができてよかったと思う。

こういうことを理解するために高校レベルの理科の知識が必要なんだなとつくづく思った。これからも生物に対する理解を深めるために、できるだけ生物の勉強をしておこうと思う。

また、せっかくこの本を読む機会を得たのだから、死についてもう少し理解を深めていこうと思う。

 

また、内容が理解不十分だったため、ほとんど具体例がない感想になったことをお許し願いたい。