幸せになりたーい!!!
むかしは、いつもそう思っていた。
若い頃は幸せになりたいと、切に願っていた。
金持ちになりたい。
かっこよくなって女の子にモテたい。
みんなに注目されたい。
それが幸せへの道だと思っていた。
ところが、あるとき、私のなんでも難しく考える癖が発動した。
そのせいで、幸せについて、ずっと考えてしまったのだ。
幸せってなんだろう?
お金と愛、どちらを持っているのが幸せなんだろう?
愛さえあれば幸せになれる?
頭がよくてかっこよいと幸せになれるのか?
金がなくたって幸せになれる?
あの頃の私は、「幸せの定義」を一生懸命探していた。
「幸せの定義」に正解がないことを知らなかったのだ。
ちなみに、なぜ急に幸せのことを書いたかというと、高校のときに教わった詩を思い出したからだ。
上田敏という人の訳詩集「海潮音」所収「山のあなた」という詩だ。
山のあなたの空遠く
「幸ひ」住むと人のいふ。
ああ、われひとと尋めゆきて、
涙さしぐみ、かへりきぬ。
山のあなたになほ遠く
「幸ひ」住むと人のいふ。
高校の頃、この詩の意味をこのように教わった。
山のかなたの空遠くに
幸せが住んでいると人が言います。
ああ、私は(愛する)人と幸せを探しに行ったのだが
涙を流して帰って来ました。
山のかなたの、もっと遠くに
幸せが住んでいると人が言います。
幸せを求めて、二人は旅に出るわけだが、山のかなたに幸せはなかった。
そして、帰ってきてから、山のもっと向こうに幸せがあると言われてしまった。
だが、そこに幸せはあるのだろうか・・・
という感じの授業だった。
結局、幸せを探しに行ったところで見つかりはしない。
なぜなら幸せは自分の心の中にあるからだ。
先生は、そんなふうに言っていた。
★★★
幸せは自分の心の中にある・・・
その答えは、私にとって新鮮だった。
たとえ、お金持ちになっても、
女の子にモテたとしても、
名誉を得たり地位を得たりしても、
幸せになれるとはかぎらない。
幸せとは自分の心の持ちようだからだ。
★★★
若い頃にそのことを知ってラッキーだった。
でなければ、ずっと幸せを追い求めていただろう。
ところが、この年齢になっても、いまだに幸せを感じることができないでいる。
経済的余裕もなく、私を支えてくれる家族もいない。
友だちが多いわけでもないので孤独になりがちだ。
そのうえ、メンタルが弱いのですぐにへこたれる。
自分の心を鍛えようと思うのに、いつまでも変わっていない。
このままでは、自分の心の中に幸せを住まわすことができないまま一生を終えてしまうだろう。
幸せが心の持ちようだということは昔から知っている。
では、どうすればそんな心を持つことができるのか。
いまだに、私にはそれができないでいる・・・。